2014年11月5日進行非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤をFDAが指定
~ 抗PD-1抗体pembrolizumabを画期的治療薬に指定 ~
10月27日、米国のMerck(メルク)社は、進行性非小細胞肺癌の治療を目的とした抗Programmed death (PD)-1抗体(一般名:pembrolizumab ペンブロリズマブ 商品名:keytruda キートルーダ)が、米食品医薬品局(FDA)の画期的治療薬に指定されたと発表した。
これによりpembrolizumabは、9月に承認された進行悪性黒色腫(メラノーマ)に続き、画期的治療薬の指定を受けたこととなる。
pembrolizumabは、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体で、T細胞上のPD-1と、そのリガンドであるPD-L1、PD-L2の相互作用を阻害することにより、PD-1のシグナル伝達経路を遮断して、抗腫瘍免疫を活性化させる。
今回の適応は、上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)変異および未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子変異が陰性の進行性非小細胞肺がんで、シスプラチンやカルボプラチンなどの白金(プラチナ)系抗がん剤を含む化学療法の治療中または治療後に、がんが進行した患者に限定して用いられる。
本指定は、9月に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2014)において、第Ib相試験(KEYNOTE-001)の結果が発表されたことを受け、迅速承認下で承認される運びとなった。
しかし、迅速承認のため生存期間や疾患に関連する症状の改善は、未だ確立されておらず、本適応が継続的に承認されるためには、確認試験における実証が重要となる。
現在、Merck社は進行性非小細胞肺癌の扁平上皮がんや腺がんに対し、単剤および併用療法としてpembrolizumabを検討する臨床試験を進めており、奏効の予測因子としてPD-L1の発現を確認するなど、さまざまな腫瘍特性を調査することも検討している。さらに、進行非小細胞肺癌を対象とする第II相試験と第III相試験(KEYNOTE-010、KEYNOTE-024)も開始しており、今後の試験結果に期待が寄せられている。